満員電車

年経るびにゐる傘は
新たな持ち主を求めて
自ら動くことがあるといふ

  • -

右手にカバン、左手に文庫、ひじのところに透明ビニール傘(\400)を引っ掛けて山手線へ。
なにやら今朝はやたら混んでて久々の超ラッシュを経験した。
満足に腕も動かせない状態で、渋谷に到着。
一瞬視界が開けて真っ先に眼に入った光景が、ホームへなんとか出ようとするツイードのコートを着た女性の姿が。
手には茶色のおしゃれそうな、柄の細い傘、肩にはちいさなカバンを持ち、もう片方の腕にはなぜか透明ビニール傘がひっかかっている。
? と思い自分の左腕に眼をやると見事に無くなっている...
思わず笑ってしまい、慌ててセキでごまかしてみた。